漸近巨星分枝
よみ方
ぜんきんきょせいぶんし
英 語
asymptotic giant branch
説 明
中心部でのヘリウム燃焼を終え、中心核の周りでヘリウムや水素の殻燃焼を行う段階にある中小質量星がHR図上で形成する系列。質量が太陽の約8倍より小さい場合には、ヘリウム燃焼で生じた炭素と酸素からなる中心核で電子が縮退し、次の核融合反応が起こらない。かわりに、ヘリウム層の外側で水素の殻燃焼が生じ、星は膨張する。これにより、HR図上で赤色巨星分枝に近い系列が形づくられ、漸近巨星分枝と呼ばれる。この段階の星は英文の頭文字からAGB星と呼ばれることが多い。水素殻燃焼の結果、ヘリウム層の質量が大きくなると、ヘリウム燃焼が暴走的に起こる(ヘリウム殻フラッシュ)。ヘリウム層の質量が減るとフラッシュは収まり、水素殻燃焼が再び始まる。漸近巨星分枝の星ではこのサイクルが繰り返し起こり、その生成物である炭素や重元素(s過程元素)が表面に現れることがある。これにより、漸近巨星分枝星(AGB星)はスペクトル型として、M型星のほか、炭素が相対的に過剰な炭素星やS型星などになる。
2021年12月29日更新
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