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潮汐摩擦

 

よみ方

ちょうせきまさつ

英 語

tidal friction

説 明

主に月の引力の影響で起こる潮汐によって海水が移動する際、海底(固体地球)との間に生じる摩擦のこと。広義には、ガス惑星や固体惑星でも起きる潮汐作用に伴う摩擦一般を指す。潮汐摩擦がなく、海水が瞬時に移動できれば、月の真下(およびその真裏)の地点で海面が最高(大潮)になる。しかし潮汐摩擦があるために、海水はすぐに月の引力に呼応できず、その間に地球が自転して、大潮の位置は月の真下から約3^\circ自転の向きに進んだ方向となる。地球中心と月の中心を結ぶ線に対して約3^\circ傾いた(わずかに)楕円形の地球(海洋が両側で大潮となっているため)に働く月の引力は、偶力となって、地球の自転を遅くするように働く。このため、地球の自転は遅くなり、現在は1日あたり0.0024秒延びている。地球と月を合わせた系の角運動量は一定に保たれるので、地球の自転が遅くなることの補償として月は毎年約3.8 cmの速度で地球から遠ざかっている。潮汐摩擦は、水のないガス惑星や、程度はわずかながら固体の惑星でも起きる。

2018年10月03日更新

関連画像

* 潮汐摩擦が地球の自転にブレーキをかける仕組み(月の公転面に垂直な方向から見た図)。潮汐力(白矢印)は地球のそれぞれの場所での月による重力(黒矢印)から、地球の重心に働く重力(二つの黒矢印の平均)を差し引いたもの。太陽の影響は無視し、海水の形状と角度は誇張してある。
浜野洋三「自然災害と地球の仕組」、シリーズ現代の天文学 第1巻、岡村・池内・海部・永原編『人類の住む宇宙』第2版 6.3節 図6.25(日本評論社)