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終端速度

 

よみ方

しゅうたんそくど

英 語

terminal velocity

説 明

1.一般には、ある力学条件の下で物体が定常状態に達した際に示す速度。速度に応じた摩擦が働く系で一定の力を受ける物体の運動の場合、十分に長い時間が経つと終端速度に達する。

2.天の川銀河円盤部にある星間ガスが発する輝線スペクトルを見ると、銀河中心側半分の銀経範囲では、それぞれ異なるある視線速度を境にして、それより速い成分が存在しない。この速度を終端速度という。銀経ごとの終端速度は比較的滑らかに変化する。終端速度は、天の川銀河の円盤部がほぼ一定の回転速度、すなわち、内側ほど角速度の大きな回転運動をしていることで生じる。この終端速度に対応する位置は、(ガスが円運動をしていると)視線方向と銀河回転の方向が一致するところ、すなわち、銀河中心から等距離の円と太陽系からの視線が接するところに当たると考えられている。銀経ごとの終端速度の変化から、銀河中心からの距離に対する回転速度の変化を知ることができ、これによって太陽系より内側の天の川銀河の回転曲線を描くことができる。

2018年03月28日更新

関連画像

HI掃天観測データから作成した星間ガスの銀経-速度図。各銀経ごとにガスが分布している視線速度範囲に限界があることがわかる。このうち、-90°≦l≦+90°の範囲で視線速度の絶対値が大きい側が終端速度に当たる。
一酸化炭素分子輝線の掃天観測データから作成した星間ガスの銀経-速度図。色の違いは分子輝線強度の違いを表し、赤黄緑青の順に弱くなり、輝線が変出されない領域は灰色になっている。各銀経ごとにガスが分布している視線速度範囲に限界があることがわかる。このうち、-90°≦l≦+90°の範囲で視線速度の絶対値が大きい側が終端速度に当たる。HI掃天観測データと比較すると、どちらの終端速度もほぼ一致していることがわかる。
https://www.cfa.harvard.edu/mmw/MilkyWayinMolClouds.html