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主焦点

 

よみ方

しゅしょうてん

英 語

prime focus

説 明

反射望遠鏡の主鏡の第一焦点。直焦点ともいう。広い意味では焦点直前に光路折り曲げ鏡を置いて鏡筒外に焦点を引き出すニュートン焦点も含む。放物面主鏡や双曲面主鏡1枚だけでは、収差を除去しきれないので、主焦点補正光学系を焦点前に配置して視野を確保する。望遠鏡筒先端部(筒頂環)に焦点がくるため、大型の装置を設置することが難しく、人が焦点に接近することも困難である。しかしながら、焦点に至る反射鏡面数が最小(主鏡1枚のみ)であるため、焦点への到達光量を最大とし、望遠鏡光学系による散乱を最小とすることができるという利点を持つ。さらに、像の拡大率が小さく、小さい範囲に広い視野が収まることから、補正光学系を組み合わせることで他の焦点よりはるかに広視野の観測を行うことができる。すばる望遠鏡は、8m級の大型望遠鏡において主焦点に観測装置を置いて観測することができる数少ない望遠鏡の一つである。他には大型双眼望遠鏡(LBT)が主焦点での観測機能を持つ。焦点(望遠鏡の)も参照。

2018年09月05日更新

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    *さまざまな望遠鏡焦点とその光学系配置
    吉田道利「地上望遠鏡」、シリーズ現代の天文学第15巻、家・岩室・舞原・水本・吉田編『宇宙の観測I』第2版 5.1節 図5.1 (日本評論社)
    すばる望遠鏡の焦点
    (すばる望遠鏡ウェブサイトより。© MBTA Corporation Japan #150132)
    すばる望遠鏡の主焦点。Suprime-Camが取り付けられている。
    (国立天文台)