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隕石

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よみ方

いんせき

英 語

meteorite

説 明

宇宙から地球に落下してきた岩石。多くは小惑星のかけらであるが、大気中で燃え尽きなかった流星のかけらもある。小惑星には太陽系誕生の初期の情報が残されているので隕石は太陽系の誕生過程を知るための重要な研究対象である。
隕石は、鉄とケイ酸塩鉱物の割合によって、石質隕石コンドライトエコンドライトの2種類)、石鉄隕石鉄隕石(隕鉄ともいう)に大別され、地球への落下頻度は、コンドライト86%、エコンドライト8%、石鉄隕石1%、鉄隕石5%程度である。
コンドライト以外の3種類の元になった天体は、溶融を経験してケイ酸塩成分と金属鉄成分が分離したと考えられている(分化天体)。エコンドライトは分化天体のケイ酸塩成分、鉄隕石は金属鉄成分、石鉄隕石は両成分が混合されたものに対応する。これらの3種は分化隕石に分類され、初期太陽系での天体の熱史と分化過程が記録されている。エコンドライトの中には、火星から来たものもある。
コンドライトは火成岩の様な組織がなく、化学組成も太陽系の元素存在度にほぼ一致し、天体分化過程での元素分別を受けていないので、分化していない小天体のかけらと考えられている。コンドライトは未分化隕石に分類され、その化学組成や構成物質には小天体誕生以前の初期太陽系での物質進化過程が反映されている。多くのコンドライトが45億6000万年程度の年代を示すことから、太陽系の誕生はその頃であったと考えられている。アエンデ隕石も参照。

国際天文学連合のF1委員会による流星天文学の用語の定義と解説:
https://www.iau.org/static/science/scientific_bodies/commissions/f1/meteordefinitions_approved.pdf

2021年02月17日更新

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    関連画像

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    四種類の隕石の代表例(出典:Smithsonian Meteorite Gallery)
    https://geogallery.si.edu/meteorites
    2020年7月2日に関東上空で観測された火球に伴う隕石(回収された2つの破片を組み合わせた写真)。国立科学博物館が千葉県習志野市に落下したものを回収した。分類を確定した後、国際隕石学会に名称を「習志野隕石」として登録申請する予定。(クレジット:国立科学博物館)
    出典:文化庁プレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000110.000047048.html