天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

エルゴ領域

 

よみ方

えるごりょういき

英 語

ergo region

説 明

回転するブラックホールでは、重力と回転の両方の効果によってブラックホールからある距離までは無限遠に対して静止した状態が取れずブラックホールの回転に引きずられて運動する。その限界面を定常限界面というが、事象の地平面と定常限界面の間の領域をエルゴ領域という。エルゴ領域内では遠方から見てエネルギーが負となる軌道が存在する。これを用いると次のようにしてブラックホールの回転エネルギーを外に取り出すことができる。まず物体をエルゴ領域内に落下させ、そこでブラックホールの回転方向と逆方向にそれぞれ運動する2つの破片に分裂させる。逆方向に運動する破片を負のエネルギー軌道に乗せてブラックホールに落とし、他方をエルゴ領域外へ再び放出すると、放出された破片は物体が最初にもっていたエネルギーよりも大きなエネルギーを持って飛び出してくる。このような操作でブラックホールからエネルギーを取り出す操作をペンローズ過程という。
エルゴというのは、ギリシャ語の「仕事」という意味が語源であり、この領域からエネルギーを取り出すことができることから名付けられた。

2018年04月19日更新

関連画像

*カーブラックホールの時空構造。左は断面図で、事象の地平線の外側にエルゴ領域が広がっている。右は上から見た図で、光円錐の振る舞いが示されている。ある点から出た光がその後どこに到達するかが○で示されている。
前田恵一「ブラックホール・中性子星」、シリーズ現代の天文学第2巻、佐藤・二間瀬編「宇宙論I」1.4節 図1.38(日本評論社)