バンアレン帯
よみ方
ばんあれんたい
英 語
Van Allen radiation belt
説 明
地球の周囲にあるドーナツ状の放射線帯のことで、米国の物理学者バンアレン(J. Van Allen)が米国の最初の人工衛星エクスプローラー1号に搭載したガイガーカウンターで発見したのでこの名前で呼ばれる。
この放射線帯は、陽子や電子などの荷電粒子が地球の磁場に捕捉されて生じる。バンアレン帯は、陽子と電子でその空間分布が異なっている。電子は地表面から3000 kmを中心とした帯構造の内帯と、地表面から20000 kmを中心とする外帯の2重構造になっており、陽子は地表面から2000 kmを中心とする一つの帯構造をしている。外帯の外部境界は地表面から60000 km程度の位置にある。地表面高度にして6000 kmから13000 kmの間の領域は内帯と外帯の中間領域にあたり、スロットと呼ばれている高エネルギー電子が少ない領域である。放射線帯中で陽子は数100 MeV程度まで、また電子は数10 MeV程度まで加速されている。内帯は長期間にわたって安定して存在するが、外帯は高速太陽風が低速太陽風を圧縮する領域や惑星間空間擾乱(ICME)などを起源とする地磁気嵐の発生で高エネルギー粒子数が増大するなどの変化を見せる。なお、低軌道の人工衛星は内帯の内側、静止衛星の軌道は外帯の外側にあり、バンアレン帯の影響を受けにくい軌道を取っている。
2018年10月06日更新
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