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スウィング増幅機構

 

よみ方

すうぃんぐぞうふくきこう

英 語

swing amplification

説 明

銀河渦巻腕を維持、増強する機構の一つ。局所的で線形近似した密度波理論では扱えないが、数値シミュレーションではしばしば目にする現象として知られる。銀河回転に対して先行する渦巻型(中心から外側へ行くほど回転方向に対して先行していく形で、リーディング状渦巻型と呼ぶ)の密度波が、差動回転で巻き込まれて後行する渦巻型(トレーリング状渦巻型と呼ぶ)に変わる際に、密度波の強さが増幅される現象を指す。銀河円盤に対応する重力ポテンシャルの下では、天体は完全な円運動からわずかに外れた動きをするが、その運動は、円運動する点を中心とする小さな楕円運動として記述できる。これを周転円近似といい、該当する楕円運動を周転円運動という。この場合、周転円運動の回転方向は銀河回転とは逆向きとなる。渦巻型の密度波がリーディング状からトレーリング状に移行する際には渦巻型ポテンシャルのパターン回転速度が、この周転円運動の回転角速度に近くなる。このため、それ以外の時期に比べて天体がポテンシャルから影響を受ける時間が長くなり、より強い影響を受ける。その結果、重力ポテンシャルへの天体の集中がより強く起こり、密度波が増幅されると考えられている。スウィング増幅機構とは、この機構のことである。
内部リンドブラッド共鳴がない力学構造を持った銀河円盤では、内側に伝わるトレーリング状渦巻が中心を通り越すとリーディング状渦巻になるため、スウィング増幅機構が働き、それによって銀河全体の渦巻構造が維持されている可能性がある。

2018年04月12日更新

関連画像

*http://ircamera.as.arizona.edu/astr_250/Lectures/Lecture_23.htm の図を元に作成。