天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3300語以上収録。随時追加・更新中!専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

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周波数コム frequency comb

極短時間(数10フェムト秒程度)のパルス列からなるレーザー光源。スペクトルは一定の間隔で並んだ多数の輝線(モード)からなっていて、その様子が櫛(comb:コム)の歯に見えることからこの名前がついた。光コム、光周波数コムな[…]

衝 opposition

ある天体から見た2天体の黄経または赤経の差が180°となるときを指す。地球中心から見た外惑星の方向が太陽からちょうど180°ずれた方向にあるときに使われることが多い。とくに、太陽と月の衝は望あるいは満月と呼ばれる(朔望も[…]

ジョルダーノ・ブルーノ Bruno, Giordano

ジョルダーノ・ブルーノ(Giordano Bruno;1548-1600)はイタリアの哲学者、天文学者。ナポリ近郊のノラに生まれ、ナポリ大学に学ぶ。17歳でドミニコ会修道院に入り修道士となった。しかし、当時主流だったアリ[…]

スピッツアー Spitzer, Lyman Strong, Jr.

スピッツアー(Lyman Spitzer Jr.;1914-97)はアメリカの理論物理学者・天文学者。オハイオ州トレド生れ、イェール大学に学び、プリンストン大学で1938年に天体物理学で学位を取得。33歳でラッセルの跡を[…]

星間赤化 interstellar reddening

星の光が星間物質中のダストにより吸収や散乱を受け、本来の色よりも赤くなること。一般に波長の短い光ほど吸収や散乱の影響を強く受けるため、色指数が大きくなる。その量はBバンドとVバンドでの星間減光の差、E(B-V)= A(B[…]

星風 stellar wind

恒星の表面から流れ出す物質(プラズマ)の流れ。恒星風と呼ばれることもある。太陽の場合は太陽風と呼ばれる。 ウォルフ-ライエ星に代表される進化の進んだ高温度(表面温度3-10万度)、大質量(太陽20倍程度以上)の恒星[…]

ゼルドビッチ近似 Zel'dovich approximation

宇宙の構造形成における、重力的な非線形成長を記述する近似法の一つ。宇宙の構造形成における初期段階では、質量密度の空間的ゆらぎが小さい。ゆらぎが十分小さい段階では、線形理論によってその時間発展が記述できる。ゆらぎが十分成長[…]

速度-距離関係 velocity-distance relation

宇宙膨張による銀河の赤方偏移(宇宙論的赤方偏移)を後退速度として解釈したときの、距離と後退速度の間の関係。近距離にある銀河では比例関係となることを1927年にルメートル(G. Lemaitre)が、また1929年にハッブ[…]

大気ゆらぎ atmospheric turbulence

地上からの天体観測では大気のゆらぎが解像力の妨げとなる。可視光と赤外線では大気中の温度ゆらぎが屈折率の非一様性の要因となり光波面を乱す。電波では水蒸気の分布のムラが位相の乱れの要因となる。光束中のこのような乱れを実時間計[…]

大速度勾配近似 large-velocity-gradient approximation

媒質の運動速度勾配が十分に大きいと仮定することで光子の脱出確率を概算して放射輸送の計算を簡単化する手法。LVG近似と略称される。放射輸送の計算を行って輝線や吸収線の強さを計算する際に、媒質中の速度勾配がどの場所でも一定([…]

タマン Tammann, Gustav

グスタフ・タマン(Gustav Tammann; 1932-2019)はドイツ生まれの天文学者。ゲッチンゲンに生まれ、第二次世界大戦中はババリア地方などに住んだが終戦後母親の生まれ故郷であるスイスのバーゼルに戻った。バー[…]

地球温暖化 global warming

地球の平均気温が長期的に上昇すること。地球全体として、気温、降水量、地表の氷の量、気圧配置、海流や海水温度などはさまざまな時間スケールで変化している。そのうち比較的に長い時間スケールの変化を気候変動という(数年以下の周期[…]

中心分子雲帯 central molecular zone(CMZ)

天の川銀河の中心付近にある分子ガス雲の複合体。英語の頭文字からCMZ(しーえむぜっと)と呼ぶことも多い。銀河面に沿って、中心から半径200~300パーセク(200~300 pc=1000光年)程度の範囲に数十pcの厚さで[…]

チョッパーホイール法 chopper-wheel method

電波天文学で用いられる、天体のアンテナ温度の代表的な強度校正法の一つ。「吸収体を用いた電波強度校正法」または「R-sky(アール・スカイ)法」ともいわれる。利得が十分な精度で安定しない受信機を天体からの微弱な信号強度の測[…]

ドップラー Doppler, Christian Andreas

クリスティアン・アンドレアス・ドップラー(Christian Andreas Doppler;1803 -1853)は、オーストリアの物理学者、数学者。観測者と震動源との相対運動によって振動数が変化すること(いわゆる「ド[…]

ドップラー効果 Doppler effect

波の発生源と観測者の相対的な速度によって波の周波数が(従って波長も)変化して観測される現象。音波などの媒質を伝わる波と(特殊相対性理論に基づく)電磁波では周波数変化を計算する式がわずかに異なる。互いに近づく場合には周波数[…]

ドップラー幅 Doppler width

ガス中の原子・分子やイオンの運動による光のドップラー効果の影響で、輝線や吸収線に生じる幅。その半値幅の半分(半値半幅)に相当する波長のずれを生じさせる速度を用いて、「ドップラー幅2000 km/s」などと表されることが多[…]

ドップラー分光法 Doppler spectroscopy

ドップラー法を参照。

ドップラー偏移 Doppler shift

ドップラー効果により、観測される波長が(従って周波数も)発信源における値からずれる現象およびずれの量の双方を指して用いられる。電磁波の場合には、波長の長い方へのずれを赤方偏移、波長の短い方へのずれを青方偏移と呼ぶ。

ドップラー法 Doppler spectroscopy

太陽系外惑星の検出方法の一つ。ドップラー分光法、視線速度法などとも言う。恒星に比べると惑星は非常に軽いが、恒星のまわりを惑星が公転すると、惑星の引力により恒星自体も微小にふらつく(両者は共通重心の周りを公転している)。恒[…]