MuSCAT
よみ方
ますかっと
英 語
Multicolor Simultaneous Camera for studying Atmospheres of Transiting exoplanets
説 明
MuSCAT(マスカット)シリーズは、2014年から2023年にかけて開発され、世界各地の 4 台の 1.5-2 m 望遠鏡に搭載された3 色(バンド 1.を参照)ないし 4 色の同時撮像測光装置である。主に太陽系外惑星のトランジット(トランジット法を参照)を多色で同時に、かつ高精度に観測することを目的として開発された。名前は1号機を設置した岡山県の名産にちなみ、Multicolor Simultaneous Camera for studying Atmospheres of Transiting exoplanets(トランジット系外惑星の大気研究のための多色同時撮像カメラ)の頭文字から作られたアクロニムである。
MuSCATの1号機は3色の装置で、2014 年 12 月 24 日に国立天文台岡山天体物理観測所でファーストライトを迎え、2015 年から1.88m望遠鏡の共同利用観測に供された。その後、4色の装置が2017年にテネリフェ島のテイデ観測所(MuSCAT2)、2020年にハワイのマウイ島ハレアカラ観測所(MuSCAT3)、2023年にオーストラリアのサイディングスプリング天文台(MuSCAT4)に設置され運用が続いている。北半球の時差の離れた 3 台の望遠鏡に搭載されているため、北天で起こるトランジットを効率的に観測できる。2023年からは南天の望遠鏡も加わり、南天のトランジット観測も開始した。
MuSCATシリーズは観測時間が比較的多く使えることから、同じ太陽系外惑星のトランジットを繰り返し観測することで、各色でのトランジットの深さのわずかな違いから惑星の大気を調べることが可能である。2018年に TESS衛星 が打ち上げられてからは、TESS衛星と連携した新たなトランジット惑星の発見確認が主な科学目標となっている。2024年までに赤色矮星を周る50個以上のトランジット惑星の発見に貢献した。その代表的な成果にハビタブルゾーン(生命居住可能領域)を公転するスーパーアースSPECULOOS-2cの発見がある。太陽系外惑星の観測以外にも、超新星や突発天体などの観測により時間領域天文学への貢献も期待されている。
2025年11月04日更新
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