重力マイクロレンズ
よみ方
じゅうりょくまいくろれんず
英 語
gravitational micro-lensing
説 明
偏向角がわずかで画像としては変化が観測できないが増光によってその存在が観測可能な重力レンズのこと。例えば、太陽程度以下の比較的低質量の天体が起こす重力レンズの場合が該当する。光の進路は重力によって曲がるため、重力源の背後から発した光は重力源の先で集まることになり、光学的にはレンズに似た機能を果たすことになる。この現象を重力レンズという。重力レンズによる曲がり角は一般にわずかである。たとえば、太陽質量の重力源が影響しても光の曲がり角は0.8ミリ秒角に過ぎないが、50キロパーセク(50 kpc=16万光年)離れた大マゼラン銀河内の恒星からの光が地球から10 kpc離れた重力源によって0.8ミリ秒角偏向した場合には、重力源の十分に近くを通る光線は地球上の観測者の位置に集光され焦点を結ぶことになる。この場合、重力レンズによる像の歪みを画像としてとらえることはできないが、光が集まることにより対象天体が増光したように見える。一般に、光源・重力源・観測者は互いに運動しているためにその相互位置は変化するので、重力レンズ効果による増光度は急激に変化する。これを利用すると、重力を及ぼしている天体を直接検出することができなくとも、増光によって間接的に検出が可能となる。同様な増光現象を示す一般の変光星とは、光度曲線の特徴と色による変光の違いがないことなどから区別ができる。
このような観測は実際に行われており、天の川銀河(銀河系)のハローには太陽質量以下の天体が多数存在することがわかっている。これらは「ハローに存在する質量を持つコンパクトな天体」の英語表記を略してMACHOと呼ばれるが、その正体はまだわかっていない。また重力マイクロレンズ現象は、太陽系外惑星を発見する手法の一つ(重力マイクロレンズ法)ともなっている。
惑星を持つ恒星による重力マイクロレンズ現象のコンピュータ・シミュレーション(背景の恒星の光が増幅される)クレジット:NASA
https://www.youtube.com/embed/z75aHv9SpVg
2024年11月12日更新
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