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ガスセル

 

よみ方

がすせる

英 語

gas absorption cell

説 明

ガス吸収セルあるいはガス吸収フィルターとも呼ばれる。高分散分光器を用いたドップラー法による太陽系外惑星の検出では、波長を高精度で測定する必要がある。恒星のスペクトルと、同じ経路に置かれた特定のガスのスペクトルとを同時に比較することによって波長を校正し、波長シフトの測定精度を向上することができる。地球大気の吸収線を用いた波長校正よりも大気変動の影響は大きく抑えられる。また、大気揺らぎが分光器に及ぼす星像の形の変化なども抑えられる。
太陽系外惑星検出用のガスセルは、カナダのキャンベル(Bruce Campbell)とウォーカー(Gordon Walker)が開発したもので、これによってドップラー法の太陽系外惑星観測が初めて実用的なレベル(約13 m/s)に達した。彼らはフッ化水素 HF(Hydrogen Fluoride)を用いたが、これは有毒で扱いにくく、使用波長範囲や長い透過長が必要なことなど問題点が多かった。その欠点を補う形で使われたのがヨードセルである(ヨードはヨウ素 -元素記号I- の一般名称)。ヨードセルは室温で使え、10-20 cm の透過長でも十分な吸収線が見える。ヨウ素ガス(I2ガス)はセルを溶かさず、有害でもなく、圧力シフトも小さい。gasこれらの理由で、HF セルは現在では使われず、I2セルが可視光校正法のひとつの主流となっており、ガスセル法自体もヨードセル法と呼ばれることが多い。

2022年01月10日更新

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