天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3300語以上収録。随時追加・更新中!専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

New

ファラデー回転

 

よみ方

ふぁらでーかいてん

英 語

Faraday rotation

説 明

磁場による電磁波の偏光面の回転を指す。電磁波の伝播経路上に進行方向と平行な磁場成分があると、右回りと左回りの偏光をもった電磁波の分散関係が違ってくる。そのため伝播するにつれ右回りと左回りの偏光をもった波の波長がずれて偏光面の回転角度の違いが生じる。これをファラデー回転またはファラデー効果という。
天文学的に興味がある電波領域では、ある天体が放出した波長λ の直線偏光の電波が磁場を含む星間ガスを通過して距離Lのところで観測されたとすると、偏光面の回転角は次のように書ける。

Δθ=λ2e32πme2c40LneB//dx

=0.81ne [cm3]B// [μG]×L [pc]λ2 [m]2 rad

=RMλ2 [m]2 rad

ここで最初の式はcgsガウス単位系で書かれており、ne は星間ガス中の自由電子の数密度、B// は電波の伝播方向の磁場成分、cme および e は、それぞれ光速度電子の質量および電気素量(素電荷)を表す( [~] 内はその量を測る単位を表している)。このようにファラデー回転角は波長の2乗に比例するが、その比例係数 RMを回転量度(rotation measure)と呼ぶ。
たとえば観測からΔθが測定され、分散量度

DM0Lne [cm3] dx [pc]

を推定できれば、回転量度RMを分散量度 DM で割ってB//の平均的な値を求めることができる。

2023年04月30日更新

この用語の改善に向けてご意見をお寄せください。

受信確認メール以外、個別のお返事は原則いたしませんのでご了解ください。

    関連画像

    画像をクリックすると拡大されます

    *ファラデー回転の説明図
    https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Faraday-effect.svg