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アインシュタイン方程式

高

よみ方

あいんしゅたいんほうていしき

英 語

Einstein equation

説 明

アインシュタインの提唱した一般相対性理論の基礎方程式で次のように表される。

Gμν=8πGc4Tμν

ここで、 Gc は万有引力定数と光速度を表す。左辺は、時空の幾何学的構造を表すアインシュタインテンソル Gμν で、それはリッチテンソル Rμν と計量テンソル(メトリックテンソル) gμν およびスカラー曲率Rを用いて、

Gμν=Rμν12gμνR

と書ける。右辺はエネルギー運動量テンソル Tμν8πG/c4 倍である。すなわち、この方程式は宇宙に存在する物質のエネルギーと運動量が、重力定数を介してその容れ物である宇宙の幾何学的構造を決定する、という形になっている。

なお、テンソルとは時間と空間3次元の計4次元からなる時空での座標系の変換に対して、その成分がある特定の変換をする多成分量であり、その成分を添え字で表す。たとえばアインシュタインテンソルは添え字が2つあるので2階のテンソルで、添え字 μ, ν は時空間の4つの座標成分を取る。

時空の幾何学を完全に記述する量は、4つの添字を持った4階のリーマンテンソル Rμναβ(曲率テンソルともいう)と呼ばれ、その独立な成分は4次元では20個ある。アインシュタインテンソルは、リーマンテンソルから作られる添え字2つを持った量で、独立な数は4次元では10個となる。アインシュタイン方程式から物質がなければアインシュタインテンソルのすべての成分は0になるが、このことは必ずしも時空が平坦であることを意味しない。時空が平坦であるのは、リーマンテンソルの20個の成分が全て0の場合である。物質がなくても時空は曲がることができる。たとえばブラックホールや重力波を表すアインシュタイン方程式の解は、物質が存在しない状況での解である。

ここではアインシュタイン方程式に宇宙項を加えなかったが、宇宙項 Λgμνを左辺に加えたものをアインシュタイン方程式という場合もある。

2023年04月06日更新

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