永年共鳴
よみ方
えいねんきょうめい
英 語
secular resonance
説 明
公転周期より長い時間スケールで軌道の変化を引き起こす原因となる共鳴関係。一つの惑星が太陽の重力だけを受けて太陽の周りを公転している場合にはその楕円軌道は変化しないが、別の惑星も公転していると相互重力により軌道が変化する。公転周期より長い時間スケールでの軌道進化を考える場合、摂動を及ぼす側の惑星をその軌道上にばらまいてできるリングから受ける重力として考えることができる。この力により他方の惑星軌道の近日点経度は徐々に回転し離心率はゆっくりと振動する。昇交点経度の回転と軌道傾斜角の振動も起きる。これらは周期が数万年から数百万年という、公転周期に比べて非常に長いタイムスケールでの変化であり、永年摂動と呼ばれる。
永年摂動により軌道が変化する惑星系に小天体が置かれたとき、小天体の近日点経度と昇交点経度も変化する。小天体がある特定の軌道長半径を持つ場合、近日点経度あるいは昇降点経度の移動速度が惑星と小天体とで等しくなる場合がある。そのような関係にあると惑星からの重力作用が積み重なるため、小天体の離心率や軌道傾斜角が非常に大きくなり軌道不安定となりうる。このような共鳴関係のことを永年共鳴と呼ぶ。 太陽系の場合、近日点経度に関する永年共鳴では、ギリシャ文字 $\nu$ に、対応する惑星の番号(水星が1、海王星が8)の添字をつけて、たとえば土星との共鳴の場合は $\nu_6$ と表す。昇降点経度に関する共鳴は1と惑星の番号を用い、たとえば土星との共鳴の場合は $\nu_{16}$ と書く。永年共鳴は小惑星や太陽系外縁天体の軌道進化に大きく影響を及ぼしたと考えられ、惑星形成過程にも影響を及ぼした可能性がある。軌道要素も参照。
2023年04月18日更新
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