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光ファイバー

 

よみ方

ひかりふぁいばー

英 語

optical fiber

説 明

屈折率の大きい媒質から屈折率の小さい媒質に対し光が浅い角度で入射したときに全反射する性質を利用して、光を高い効率で伝送するガラス繊維。屈折率の高いコアと呼ばれるガラスをクラッドと呼ばれる屈折率の低いガラスで覆い、さらにその外側を被覆で保護した構造を持ち、光は全反射により(ファイバーの種類によっては屈折の場合もある)コア内部を伝わる。天文学では観測装置とコンピュータを結ぶ通信線として利用するほか、多くの天体の光をファイバーで別々に拾い集めた後、一列に並べ替えて分光する多天体分光器や、バンドル(光ファイバーの束)にして広がった天体の光を場所ごとに取り出し、同時に分光する面分光装置に利用されている。

2018年09月06日更新

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    *光ファイバーの種類と構造。コア系の太さとコア内での屈折率分布による違いがある。
    佐々木敏由紀「光ファイバー」、シリーズ現代の天文学第15巻、家・岩室・舞原・水本・吉田編『宇宙の観測I』第2版 6.8節 図6.36(日本評論社)
    *スローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)の分光で用いられた光ファイバーのユニット。焦点面に置かれた精密穿孔板上の対象天体の位置に開けられた穴に20本のファイバーを1本ずつ差し込み、もう一方の端をファイバーをむき出しにして1列に並べて分光器のスリットに導く。16セットを1台の分光器に割り当てる。分光器が2台あるので一度の観測で640天体のスペクトルが得られた。
    (岡村定矩氏提供)