天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

クロノメーター

 

よみ方

くろのめーたー

英 語

Chronometer

説 明

現代では、スイスクロノメーター検定協会が行う厳しい精度テストにパスした高精度な時計を指すが、天文学との関わりからは、海洋時計(マリンクロノメーター)を指すことがほとんどである。揺れる船の上でも使用でき、船の位置(経度)の測定ができるほどの精度を有するクロノメーターは18世紀にイギリスの時計職人ジョン・ハリソン(John Harrison)が発明した。
当時は大航海時代で海難事故が多く、船の位置を高い精度で知る方法の開発が望まれていた。1714年イギリス議会に、海上で経度を測定する方法の実現に向けて経度委員会が作られ、ニュートンも含めた学者からもアドバイスを受け、「経度法」が定められた。これは、海の上で経度を測る方法の実現をめざし、達成精度に応じて賞金を支払うものであった。最高精度である経度誤差2分の1度以内を達成した者への賞金は2万ポンドであった。これは国王の身代金の半分という巨額であった。
1693年にイギリスのヨークシャー州の大工の家庭で生まれハリソンは、独学で物理や機械工学を学び、ほぼすべての部品を木材で作った最初の振り子時計を1713年に完成させた。ハリソンは弟とともにクロノメーターの開発に取り組み1735年に初の船舶時計(H1)を完成させた。それ以後、月の観測から経度を決める方法に固執した天文学者との長い葛藤があり、ハリソンは困難状況の中、H2、H3へと時計の高精度化に取り組んだ。最終的にハリソンが1759年に製作したクロノメーターH4は、ポーツマスから西インド諸島のバルバドス島まで46日間の航海で誤差39秒という記録を打ち立て、紆余曲折はあったが1773年にハリソンはようやく賞金全額を獲得した。ハリソンのクロノメーターは修復されて、現在もグリニッジ王立天文台で時を刻んでいる。

2018年10月02日更新

関連画像

ジョン・ハリソンのクロノメーターH1(1735)とH2(1741)
http://collections.rmg.co.uk/collections/objects/79139.html
http://collections.rmg.co.uk/collections/objects/79140.html
ジョン・ハリソンのクロノメーターH3とH4(1759)
http://collections.rmg.co.uk/collections/objects/79141.html
http://collections.rmg.co.uk/collections/objects/79142.html