三重アルファ反応
よみ方
さんじゅうアルファはんのう
英 語
triple alpha reaction
説 明
3つのヘリウム原子(、
粒子ともいう)から炭素(
)が合成される原子核反応(右図および燃焼を参照)。 トリプルアルファ反応とも言う。この反応は、(1)2つの
から
が合成される過程と、(2)
と
から励起状態にある
が合成される過程、および(3)励起された
が光子
(あるいは電子-陽電子対)を放射して基底状態の
に変換される過程の3段に分けられる(
の
は励起状態にあることを示す。陽子数と中性子数は同じだが、原子核としての構造は基底状態の
と異なる)。
が合成される第1段と第2段はそれぞれ91.78 keVと0.29 MeVの吸熱反応であるが、全体としては発熱反応である。合成された
は不安定で、極めて短い寿命で2つの
に戻る。しかし
Kの高温になると、熱平衡状態でごく微量の
ができる。この微量の
が第2段の反応を起こし、さらにその中の微量が
となる。第2段の反応で合成された
も多くは逆反応によりもとに戻る。第2段の反応は、運動エネルギーを含めた
と
の全エネルギーがちょうど
の静止エネルギーと等しいときにだけ起こるので、共鳴反応と呼ばれる。ヘリウムから炭素が合成される反応なので、ヘリウム燃焼とも呼ばれる。 この反応が起こることは1953年フレッド・ホイル(F. Hoyle)によって理論的考察から提唱された。ただし近年、
より低温では、直接3つの
から
が形成される可能性が指摘されている。
2023年01月16日更新
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