潮汐摩擦
よみ方
ちょうせきまさつ
英 語
tidal friction
説 明
主に月の引力の影響で起こる潮汐によって海水が移動する際、海底(固体地球)との間に生じる摩擦のこと。広義には、ガス惑星や固体惑星でも起きる潮汐作用に伴う摩擦一般を指す。潮汐摩擦がなく、海水が瞬時に移動できれば、月の真下(およびその真裏)の地点で海面が最高(大潮)になる。しかし潮汐摩擦があるために、海水はすぐに月の引力に呼応できず、その間に地球が自転して、大潮の位置は月の真下から約$$3^\circ$$自転の向きに進んだ方向となる。地球中心と月の中心を結ぶ線に対して約$$3^\circ$$傾いた(わずかに)楕円形の地球(海洋が両側で大潮となっているため)に働く月の引力は、偶力となって、地球の自転を遅くするように働く。このため、地球の自転は遅くなり、現在は1日あたり0.0024秒延びている。地球と月を合わせた系の角運動量は一定に保たれるので、地球の自転が遅くなることの補償として月は毎年約3.8 cmの速度で地球から遠ざかっている。潮汐摩擦は、水のないガス惑星や、程度はわずかながら固体の惑星でも起きる。
2020年07月23日更新