潮汐摩擦
よみ方
ちょうせきまさつ
英 語
tidal friction
説 明
潮汐作用により天体が変形することに伴う摩擦現象。たとえば、地球の場合、月の潮汐作用で海水が移動する際に生じる海水と海底(固体地球)の間の摩擦が顕著である。程度に差はあるが、海水に限らず、地殻や大気でも潮汐摩擦は発生する。
潮汐摩擦がなく、海水が瞬時に移動できれば、月の真下(およびその真裏)の地点で海面が最高(満潮)になる。しかし潮汐摩擦があるために、海水はすぐに月の引力に呼応できず、その間に地球が自転して、満潮の位置は月の真下から約自転の向きに進んだ方向となる。地球中心と月の中心を結ぶ線に対して約
傾いた(わずかに)楕円形の地球(海洋が両側で満潮となっているため)に働く月の引力は、偶力となって、地球の自転を遅くするように働く。
このため地球史的な長時間スケールでは地球の自転は遅くなっており、現在では1日の長さは100年あたり約0.002秒のペースで長くなっている(ただし、100年程度以下の短い時間スケールで見れば地球の自転はさまざまな要素に影響されて複雑に変化する;うるう秒を参照)。地球と月を合わせた系の角運動量は一定に保たれるので、地球の自転が遅くなることの補償として月は毎年約3.8 cmの速度で地球から遠ざかっている。
2021年08月04日更新
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