相反則不軌
よみ方
そうはんそくふき
英 語
reciprocity failure
説 明
非常に弱い光に対しては、露光時間を延ばしても写真の黒みが増加しにくくなることを指す写真の用語。写真における露光量 $E$ は、照度 $I$ と露光時間 $t$ の積で $E=It$ である。写真の黒み $D$ は、露光量 $E=It$ の対数にほぼ比例して、$D\propto{γ}\,{\rm log}\,(It)$ と書ける。$γ$ は階調を表す定数で写真乳剤の種類や現像処理法により異なる。つまり、ある照度 $I$ の光を一定時間 $t$ だけ照射した場合と、 $I/2$ の光を $2t$ だけ照射した場合は同じ露光量になるので、同じ黒みが生じる。これを相反則(reciprocity law)という。
ところが、光の照度が極めて低い天体写真のような場合には、露光時間を長くして、高い照度の光を短時間当てたのと同じ露光量にしても、黒みは少なくなる。この現象を相反則不軌という。写真乳剤(フィルムや乾板)を冷却すると相反則不軌が軽減する。相反則不軌を低減し、低照度での撮影効率を上げた天体写真専用の写真乳剤が1990年代まで生産されていた。
2023年05月08日更新
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