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放射輸送

 

よみ方

ほうしゃゆそう

英 語

radiative transfer

説 明

電磁波光子)によるエネルギー輸送のこと。天文学では、主にプラズマや中性ガスなどで構成される媒質中での電磁波の伝搬に関して、そのエネルギー輸送率に着目して記述することが多い。電磁波(光子)によるエネルギー輸送過程を記述する方程式は放射輸送の方程式と呼ばれる。
着目する方向(\Omega)の長さを表す座標をs [m]とし、その方向に垂直な単位面積を考える。この面を単位立体角、単位時間、単位振動数あたりに通過する放射強度I_\nu [{\rm J\,s}^{-1} {\rm m}^{-2} {\rm \,Hz}^{-1} {\rm sr}^{-1}] とすると、この放射強度が座標sが増加する方向にどのように変化するかを表すのが放射輸送の式であり、以下の式で表される。
\frac{1}{c}\frac{\partial I}{\partial t}+\frac{\partial I}{\partial s}= - \kappa_\nu I_\nu + \varepsilon_\nu(\Omega).
ここで、cは光速、\kappa_\nuは放射の吸収係数 \varepsilon_\nu(\Omega)は媒質のこの方向への放射係数である。
この式は光子についてのボルツマン方程式そのものであり、エネルギー輸送について現象論的に導くことができる。相対論的な現象などの特別な場合を除けば、この左辺第1項の時間微分項を無視した定常問題を考える場合が多い。
なお、天文学では伝統的に放射(光子の束)のことを輻射(ふくしゃ)と呼んでいたため、輻射輸送、輻射輸送方程式という言葉もまだ使われている。

2018年04月24日更新

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