天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3300語以上収録。随時追加・更新中!専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

New

圧力幅

 

よみ方

あつりょくはば

英 語

pressure broadening

説 明

天体が示すスペクトル線には周波数ないし波長方向に幅があり、その形は幅ができる原因によって異なる。このうち、ガスを構成する原子や分子が十分な圧力を示す際に顕著になる成分を圧力幅という。ローレンツ関数型をしており

I(ν)=I0πγ(νν0)2+γ2

で表現できる。ここで、ν は周波数、ν0 は中心周波数、γ は線幅、I0 は強度に対応する定数である。圧力幅は、ガス粒子同士の衝突や周囲にある電磁波との相互作用で生じる。

星間空間ではガス密度が低いため、圧力幅の寄与は小さ過ぎて、そのスペクトル線での圧力幅は無視できるほど小さいが、恒星の表面や惑星大気など、比較的高密度なガスが発するスペクトル線では十分に観測できる幅となる。これを逆に利用することでスペクトル線の形や幅から圧力を求めることができる。自然幅熱幅減衰輪郭も参照。

2023年04月18日更新

この用語の改善に向けてご意見をお寄せください。

受信確認メール以外、個別のお返事は原則いたしませんのでご了解ください。

    関連画像

    画像をクリックすると拡大されます

    ガウス関数とローレンツ関数の比較