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積分球

 

よみ方

せきぶんきゅう

英 語

integrating sphere

説 明

一様な明るさの面光源を作り出す装置。球体の内側に散乱性の高い白い塗料(硫酸バリウム(BaSO4)やフッ素系樹脂など)を塗布した構造をしており、球体に開けた小さな穴の一つが光源の入射ポート(窓)、もう一つが観測装置への出射ポートになっている。入射ポートから積分球内に入った光は散乱性の高いバッフルで散乱され、積分球の内面で多重散乱(乱反射)を繰り返し、出射ポートでは一様な明るさの散乱光が観測される(図1)。天文学では観測装置に使う検出器感度の一様性を補正するための参照データを得るためや、波長ごとの感度(分光感度)の測定などに用いる。
天文観測装置は天体の明るさなどを精密に測定するので、その検出器の感度は良く校正されなければならない。CCD などの2次元検出器にわずかでも検出器面上の場所による「感度むら」があると、天体の写る場所によって測定値が異なってしまう。そこで、検出器の感度むらを測定してこれを補正するために、明るさが一様な面光源が必要となる。この用途として、夕方や朝の薄暮時の空や望遠鏡ドームの内側に反射板を設置して用いることが多いが、積分球を用いることもある。
分光感度の測定では、積分球を単色光源を作り出すモノクロメーターと組み合わせる。モノクロメーターで得られた単色光を積分球の入射ポートに入れ、測定したい検出器(CCD)を実際の観測時と同じように冷却した状態で出射ポートに取り付ける。入射光の強度は別途積分球内に設置したフォトセンサで測定し、CCDの出力と比較して感度を求める(図2, 図3)。

2019年07月18日更新

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    * 図1 積分球の原理
    * 図2 検出器の分光感度を測定する装置(国立天文台提供)
    * 図3 検出器の分光感度を測定する装置の光源となるモノクロメータと積分球の関係 (国立天文台提供)。モノクロメーターに入った光はグレーティングで分光され測定したい波長の光のみが積分球に入る。積分球に入った光はバッフルで拡散され、積分球壁面で乱反射し、一様な光が出射ポートから出て検出器などに照射される。