ゼルドビッチ近似
よみ方
ぜるどびっちきんじ
英 語
Zel'dovich approximation
説 明
宇宙の構造形成における、重力的な非線形成長を記述する近似法の一つ。宇宙の構造形成における初期段階では、質量密度の空間的ゆらぎが小さい。ゆらぎが十分小さい段階では、線形理論によってその時間発展が記述できる。ゆらぎが十分成長すると、線形理論が不正確になり、その時間発展に非線形効果が入ってくる。この非線形段階を解析的に正確に記述することは一般に難しい。そこで非線形モデルなどの近似的方法が考えられている。ゼルドビッチ近似はそのような近似法の一つである。具体的には、ラグランジュ座標が一定値を持つ流体素片の運動を考え、ゆらぎの小さい十分初期の段階で線形理論と一致するようにその運動を決める。それを非線形段階まで外挿したものが、ゼルドビッチ近似である。ゼルドビッチ近似は、宇宙論的N体シミュレーションの初期条件を生成するのにもよく用いられている。
2018年03月06日更新
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