宇宙検閲官仮説
よみ方
うちゅうけんえつかんかせつ
英 語
cosmic censorship hypothesis
説 明
重力崩壊の最終段階では物質のエネルギー密度や時空の曲率が無限に大きくなり一般相対性理論で扱う時空の概念が破綻する。このような領域を特異点、あるいは特異領域というが、現在のところ特異点を支配する物理法則は知られておらず、したがってその振る舞いは予言ができない。
もし無限遠方から特異点が見えると、特異点から出てくる情報に何の制限もつけられないため、未来の振る舞いが初期条件だけで記述されるという初期値問題が設定できなくなる。そこでイギリスの数理物理学者ペンローズ(R. Penrose)は重力崩壊で現れる特異点は常に事象の地平面で覆われていると仮定した。この仮定を宇宙検閲官仮説という。物理的にもっともらしい仮定の下では、この仮説は正しいと考えられているが、その厳密な証明はまだない。
2018年04月18日更新
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