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ΛCDMモデル

 

よみ方

らむだしーでぃーえむもでる

英 語

ΛCDM(lambda cold dark matter)model

説 明

ビッグバン宇宙論に基づいて宇宙の進化を記述する宇宙モデルのうち、 ダークエネルギーと冷たいダークマターを含む加速膨張する宇宙モデル。ダークエネルギーは宇宙項フリードマン方程式でΛで表される)に対応し、冷たいダークマターは英語でCold Dark MatterでCDMと略記されることから、ΛCDMあるいはΛ-CDMと表記される。CDMモデルに宇宙項を加えたモデルとも言える。

空間的には平坦で(曲率=0、密度は臨界密度に等しい)、現在は加速膨張している。現在のさまざまな観測事実ともっとも整合性がよく、現時点でのの標準宇宙モデルである。プランク衛星による宇宙マイクロ波背景放射(温度2.725 K)の観測、Ia型超新星セファイドなどを用いた宇宙の距離はしごによるハッブル定数の決定、銀河団超銀河団ボイドなどが織りなす宇宙の大規模構造などの観測から決められたΛCDMモデルのパラメータは以下のようになっている。
・宇宙の構成要素
$\hspace{0.5cm}$- ダークエネルギー:69%
$\hspace{0.5cm}$- ダークマター:26%
$\hspace{0.5cm}$- バリオン(普通の物質):5%
宇宙年齢 138億年
・ハッブル定数 約70 km/s/Mpc
宇宙の晴れ上がり ビッグバンから約38万年後
・加速膨張への転換期 今から約60億年前

2024年01月11日更新

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    *ビッグバン宇宙論(インフレーションを含む)に基づくΛCDMモデルが予測する宇宙進化のイメージ図。
    https://map.gsfc.nasa.gov/media/060915/ の図に用語の和訳と補足説明を付けて作成(岡村定矩)
    ΛCDMモデルによる宇宙の構成要素とその割合
    'Planck 2018 results. VI. Cosmological parameters', Planck Collaboration 2020, Astr. & Ap, 641, A6 のデータによる