天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

水メーザー

 

よみ方

みずめーざー

英 語

water Maser

説 明

水分子の励起状態が反転分布するときに出る強い放射で、波長約1.35 cm、振動数22 GHzの電波である。星生成領域や活動的な銀河の中心核付近で検出されている。
1995年に、NGC4258 から発見された強い水メーザーの発生源を、大陸間の超長基線電波干渉計(VLBI)で0.1ミリ秒角の角分解能で撮像し、周波数の精密なドップラー測定を行った結果、この銀河の中心核の周囲およそ0.1 pcの範囲には、毎秒約1000 kmの速度でケプラー回転を行うガス円盤があり、その回転則から、中心には、3.7\times 10^7 M_{\odot}の質量があることが判明した。これは当時最も確実な超大質量ブラックホールの証拠になった。
また水メーザ源の長期間のモニター観測から、天球上での位置とその変化及びそれに対応する速度と加速度の変化が得られたので、幾何学的な関係からこの銀河の距離を精度良く求めることができた(m-M=20.39±0.06 mag)。このため、NGC4258は、年周視差の測定されたセファイドとともに宇宙の距離はしごの結節点(アンカーポイント)として重要な役割を果たすようになった。メーザーも参照。

2018年10月03日更新

関連画像

* NGC4258のVLBIによる観測結果。水メーザーの位置が黒の三角と四角で示されている。
安田直樹「近傍銀河の距離決定」、シリーズ現代の天文学第4巻、谷口・岡村・祖父江編『銀河I』第2版 6.3節 図6.8(日本評論社)
(原図は Herrnstein et al. 1999, Nature 400, 539)
NGC 4258 (NASA)
https://www.nasa.gov/mission_pages/hubble/science/m106.html