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シャックハルトマンセンサー

 

よみ方

しゃっくはるとまんせんさー

英 語

Shack-Hartmann sensor

説 明

光波面のゆらぎを測定するための装置。望遠鏡で参照星を観測するとき、入射瞳位置に置いたマイクロレンズアレイで入射光束を小開口に分割し、それぞれのレンズが結像する多数の参照星像の位置を測定する。大気のゆらぎで光波面が乱されると、参照星像の位置がその小開口を通過した光波面の傾きに比例して変動する。このため参照星像の位置の変動を測定するとその小開口部での光波面の傾斜(1次微分)ベクトルを測定することができる。波面の1次微分ベクトルの分布を測定できれば、波面全体のゆらぎ分布を求めることができる。一方、主鏡鏡面誤差など、望遠鏡光学系の誤差成分は変化しないか、変化しても大気変動より遅い。そのため、シャックハルトマンセンサーでの測定を多数回繰り返すと大気乱流によるランダム変動成分は平均化されて消える。こうして、光学系の誤差による光波面誤差を残留平均値の分布から推定することができる。ハルトマン検査も参照。

2018年09月17日更新

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    *シャックハルトマンセンサーの原理
    早野 裕「補償光学と位相補償」、シリーズ現代の天文学第15巻、家・岩室・舞原・水本・吉田編『宇宙の観測I』第2版 7.3節 図7.15(日本評論社)