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スピリット

 

よみ方

すぴりっと

英 語

Spirit

説 明

アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星着陸探査機。火星表面の地質を観察して岩石を分析した2機のマーズローバの1つ。2003年6月10日に打ち上げられ、2004年1月3日に、火星赤道域のグセフクレーターに着陸した。着陸船そのものが高さ1.5m、幅2mのローバ(移動探査車)である。太陽電池パネルの下には6個の車輪があり独立に動く。太陽電池で駆動するが、電気回路部は放射性熱源で保温されているため長寿命である。パネルの上部に直立するマストの先端にはステレオカメラと、熱赤外分光計が搭載されている。ローバ前面の下部には、折りたたみ式のアームがあり、先端には顕微鏡カメラ、アルファX線分光計、メスバウアー分光計、岩石研磨装置が搭載されている。グセフクレーターは、約40億年前に活動していたと考えられるマアディム谷が流れ込んでいる、100kmサイズの湖の跡であると考えられている。当初は湖沼堆積物を発見することはできなかったが、その後にコロンビアヒルと命名された丘陵地域を探索して、堆積物や火山活動の証拠を発見している。2009年5月に車輪が砂地にはまり動くことができなくなった。その後静止状態で観測を続けていたが、2011年5月に運用が終了した。

2018年03月06日更新

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    関連画像

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    マーズローバ・スピリット(NASA)
    スピリットの発見した火山性の岩石(NASA)