デカルト
よみ方
でかると
英 語
Descartes, Rene
説 明
デカルト(Rene Descartes;1596-1650)は近世哲学の祖といわれるフランスの哲学者、自然科学者。「近代哲学の父」とも称せられる。フランスの貴族の家に生まれ、1606年にイエズス会の学院に入りスコラ学を学んだ。一方で、啓蒙主義思想の影響を受け、数学を通じて合理的思想を育てた。1618年に学院を出て、三十年戦争に旧教派として従軍、その後ヨーロッパ各地を遍歴しながら自らの哲学を構築した。主にオランダで活動していたが、1650年にスウェーデン女王クリスティナに招かれて当地に赴き、そこで亡くなった。
デカルトは、哲学にも数学と同様な確実に証明できる原理があるべきだと考え、先入観を除いて思考を進めようとした。徹底的な懐疑から出発した結果、自己の存在は疑う余地がないとの結論に達し、「我思う故に我あり(cogito, ergo sum)」という有名な命題を得た。さらに、自然と人間精神を峻別し、自然現象を機械論的に対象化する二元論の立場をとった。真空を廃し、すべての空間には連続でいくらでも細かく分割できる微細物質が詰まっているとして、遠隔操作としての力を否定し、物体の運動の原理を、空間における渦動にあるとした。ロバート・フックはこの考え方を受け継ぎ、デカルトの宇宙に満ちている微細物質をエーテル(aether, ether)と呼び、光とはエーテルの中を伝わる振動であるとした。この運動論は後に否定されたが、彼の解析幾何を手法とする自然現象の探究と、二元論的な認識法は、近代科学の指導的原理となった。著書に『世界論』(宇宙論)Le Monde、『方法序説』Discours de la méthode、『情念論』Les passions de l’ameなどがある。
なお、デカルトのラテン語名はレナトゥス・カルテシウス (Renatus Cartesius) であり、デカルト格子(Cartesian grid)など、デカルトの名がついたものにカルテシアン(Cartesian)という表現が用いられる。
2024年10月13日更新
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