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L-S結合

 

よみ方

えるえすけつごう

英 語

L-S coupling

説 明

原子のエネルギー準位の近似的な計算方法。また、この近似法に従って分類されたエネルギー準位間の遷移の選択則のことを指す場合もある。ラッセル-ソーンダース結合ともいう。

電子の軌道角運動量とスピンの相互作用を含む相対論的な効果により、原子の軌道角運動量 L とスピン S は別々には保存されず、全角運動量 J = L+S が保存される。そのため、原子のエネルギー準位は全角運動量 J の値で指定しなければならない。しかし、原子番号が小さい原子の場合、電子の軌道角運動量とスピンの相互作用が、静電的な相互作用エネルギーに比べて極めて小さいため、すべての電子の角運動量 L とすべての電子のスピン S の値でエネルギー準位を近似的に分類することが可能となる。その結果、「許容線である電気双極子遷移において、S は変化せず、L が 0 または ±1 だけ変化する遷移が可能となる」という選択則が成り立つ。この選択則に従わない遷移は禁制線であるが、密度の低い電離水素領域などでは重要となる。

2023年04月18日更新

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