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銀河間吸収

 

よみ方

ぎんがかんきゅうしゅう

英 語

intergalactic absorption

説 明

銀河クェーサーから出た光がわれわれに届くまでに銀河間空間の物質によって吸収されること。銀河間空間にはさまざまな規模のガス雲や希薄なガスが存在している。それらのほとんどは暗すぎて直接検出することはできないが、もし背後に明るい天体があると、その天体のスペクトルに吸収線を刻むので、影絵のように存在を知ることができる。このようにして見つかるガス雲をクェーサー吸収線系という。吸収線系は、水素の吸収線の強度(水素の柱密度)に基づいていくつかの種類に分類されている。炭素やケイ素などの重元素による吸収線を持つものもある。吸収線系は銀河間物質の物理状態や元素組成を探る重要な手掛かりであるほか、銀河の進化にも関与していると考えられている。ライマン𝛂線より短波長の連続光が受ける強い銀河間吸収によって高赤方偏移宇宙にある銀河(ライマンブレイク銀河)を探すことができる。

2018年08月18日更新

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    クエーサーPKS0405-123のスペクトルに現れた銀河間吸収線(図中IGMとあるもの)。これら吸収線の観測から銀河間のガス分布が明らかになるようになる。銀河はこの銀河間ガスがダークハローに降着して形成される。
    (クレジット:NASA, ESA, and the Hubble SM4 ERO Team)
    https://www.nasa.gov/images/content/384635main_ero_pks0405-213_4x3_946-710.jpg