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秤動

高

よみ方

ひょうどう

英 語

libration

説 明

ある位置を中心にして、周期的な運動をすること。天体の動きとしては、ラグランジュ点付近での運動で使われることが多い。
月はいつもほぼ同じ面を地球に向けているが、実際には上下左右に少しだけ振れて見える。これを月の秤動と呼び、光学秤動と物理秤動の2種類に分けることができる(ただし、物理秤動は光学秤動に比べるとはるかに小さい)。光学秤動とは、月の公転が楕円軌道であるため速度が一定でないことや月の赤道面が軌道に対して傾きを持つことなどにより角度にして数度向きが変わって見える現象である。物理秤動とは、月の自転軸に対する歳差章動である。

ラグランジュ点での秤動とは、たとえば木星トロヤ群小惑星のように、ラグランジュ点の周辺を振動するように動く現象を指す。さらに、太陽系天体の軌道要素がある値の周りに振動するようなときにも秤動と呼ばれることがある。


2022年の元日から大晦日までの「月の満ち欠け」の様子を1時間間隔で再現した約5分間の動画。月までの距離(中央の横線)の単位は地球の直径(28と32はそれぞれ約356,400 kmと406,700 km に相当する)。左下が、秤動によって地球から見えている月の面が周期的に変わる様子。
Video credit: NASA’s Goddard Space Flight Center
Data visualization by Ernie Wright (USRA)
Producer & Editor - David Ladd (AIMM)
Music provided by Universal Production Music: “Build the Future”- Alexander Hitchens
NASAの元サイト https://svs.gsfc.nasa.gov/4955

https://www.youtube.com/embed/c4Xky6tlFyY

2025年10月05日更新

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