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位相クロージャー

 

よみ方

いそうくろーじゃー

英 語

phase closure

説 明

電波干渉計において、閉曲線を形作るような基線間で取得されたビジビリティを用い、それらの位相を合成して得られる量。たとえば、素子アンテナA, Bで構成される基線が測定するビジビリティ{\it \Gamma}_{\mathrm{AB}}は、その基線に対し天体が作る真のビジビリティをV_{\mathrm{AB}}として、 {\it \Gamma}_{\mathrm{AB}} = g_{\mathrm{A}} g_{\mathrm{B}}^{\dag} V_{\mathrm{AB}} と表される。ただし、g_{\mathrm{A}}, ~g_{\mathrm{B}}はアンテナA, Bの受信系がもつ複素利得であり、^{\dag}は複素共役を表す。ここで、{\it \Gamma}_{\mathrm{AB}}の位相を\phi_{\mathrm{AB}}とし、もう一台のアンテナCを含めて位相クロージャー \phi_{\mathrm{AB}} + \phi_{\mathrm{BC}} + \phi_{\mathrm{CA}} をつくると、g_{\mathrm{A}}, ~ g_{\mathrm{B}}, ~ g_{\mathrm{C}}に起因する位相の和はゼロとなり、天体信号に起因する情報のみが残るはずである。位相クロージャーがもつこの性質を利用して、装置利得に影響されない測定量として活用されたり、装置の動作検証に活用されたりすることがある。

2018年04月20日更新

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