中性鉄K𝛂線
よみ方
ちゅうせいてつけーあるふぁせん
英 語
K alpha line of neutral iron
説 明
まったく電離していない電気的に中性の鉄原子1個には26個の電子があるが、そのうち、最も原子核に近く最もエネルギー準位が低い電子軌道をK殻、次に近い2番目にエネルギー準位が低い電子軌道をL殻と呼ぶ。K殻には電子が2個まで、L殻には8個まで存在できる。K殻に空席ができ、L殻にある電子がK殻に遷移すると輝線が生じる。これを鉄のK線と呼ぶ。L殻より高エネルギーの準位のほとんどが実際に電子で占められているときと、そこにほとんど電子がない場合とでは鉄のK
線のエネルギーが若干変わる。
前者を中性鉄K線と呼び、その波長は0.194 nm、光子のエネルギーでは6.4 keV である。これに対して、後者を高階電離鉄K
線と呼び、たとえば24階電離(残った電子が2個しかないので、ヘリウム状鉄ともいう)のK
線のエネルギーは6.7 keVと、中性の場合より高めになる。このようにX線での輝線のエネルギーによって区別するため、中性とはいうものの実際には24階までは電離が進んでいないという意味である。K殻電離も参照。
2018年03月11日更新