天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

z項

 

よみ方

ぜっとこう

英 語

z-term

説 明

木村栄によって極運動を説明する式に加えられた項の名前。極運動により自転軸が地球の形状に対して運動すると、観測地点の緯度が変化する。この緯度変動量\Delta\varphiは経度\lambdaと極運動の大きさ(x, y)から、\Delta\varphi=x\cos\lambda+y\sin\lambdaで表せるはずであり、逆に緯度変化から極運動の大きさを決めることができる。
水沢緯度観測所(現在の国立天文台水沢VLBI観測所)はこの緯度変化を観測する国際緯度観測事業のため1899年(明治32年)設立された。当初は他に比べて日本の観測結果が悪いと批判されたが、初代所長であった木村栄は観測結果を吟味、観測には問題はなく、むしろ\Delta\varphi=x\cos\lambda+y\sin\lambda+zのような、経度によらない、1年周期で変化する未知の項(z項)が必要であるとの結論に達した。z項を導入して再度解析した結果、むしろ日本の観測のほうがよいことが判明、世界的にも高い評価を受けた。
z項の正体はしばらくの間謎であったが、おなじく水沢緯度観測所の若生康二郎により、当時の章動理論の不備、つまり地球が剛体ではなく流体核を持つことによる誤差であることが明らかになっている。

2018年07月03日更新

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