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ボイジャー探査機

高

よみ方

ぼいじゃーたんさき

英 語

Voyager

説 明

アメリカ航空宇宙局(NASA)が1977年に打ち上げた2機の外惑星探査機。9月5日に打ち上げられたボイジャー1号は、木星(1979年3月5日)、土星(1980年11月12日)を探査、それに先立ち8月20日に打ち上げられたボイジャー2号は、木星(1979年7月9日)、土星(1981年8月25日)に加えて、天王星(1986年1月24日)、海王星(1989年8月25日)を探査した。
ボイジャーには、カメラ、分光器、プラズマ計測器、ダスト計測器など多数の観測機器が搭載され、多くの発見がなされた。その中でも、木星の衛星イオの火山活動、エウロパの表面に刻み込まれた複雑なリッジ状地形、土星の衛星エンセラダスとハイペリオンや天王星の衛星ミランダとアリエルの複雑な表面地形、海王星の衛星トリトンの大気、木星と海王星の塵のリング、海王星の大暗斑とメタンの雲などが特筆すべき新発見である。
ボイジャー1号は2004年12月に太陽から94天文単位の距離で終端衝撃波面を、2012年8月に121天文単位でヘリオポーズを通過した。ボイジャー1号とは異なる方向に向かったボイジャー2号は2007年8月に84天文単位の距離で終端衝撃波面を通過し、2018年11月に119天文単位でヘリオポーズを通過した。打ち上げから41年経って2機とも太陽圏を脱出した。
2018年時点で、ボイジャー1号、2号はそれぞれ太陽から約216億km、179億kmの地点を太陽系の外側へ航行中で、ともに交信は保たれている。オールトの雲の内側に到達するのは約300年後、オールトの雲の外側に出て太陽系を脱出するのは3万年後と予想されている。ただし、地球との交信用の原子力電池は2025-2030年頃に寿命が尽きるとみられている。
ホームページ:http://voyager.jpl.nasa.gov/

2019年10月04日更新

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    ボイジャー探査機。地球外文明に向けた、地球の風景, いろんな言語の挨拶, 雷の音などなどを記録した銅製金メッキのレコードが積まれている。(NASA)
    https://www.nasa.gov/mission_pages/voyager/images
    https://voyager.jpl.nasa.gov/
    ボイジャー探査機(NASA)
    https://voyager.jpl.nasa.gov/
    ボイジャー1, 2号の位置と太陽圏。(クレジット NASA)
    https://voyager.jpl.nasa.gov/ (2018年12月12日閲覧)
    ボイジャー1号による木星の衛星イオの火山噴火を捉えた画像。1999年6月に公開された。撮影した距離は49万km。
    https://www.nasa.gov/mission_pages/voyager/multimedia/pia00010.html
    ボイジャー1号が約60億kmの彼方から撮影した地球(右側を斜め縦に走る茶色の帯の中の青白い点)。ペイル・ブルー・ドット(Pale Blue Dot)と呼ばれる。
    (クレジット NASA)
    https://voyager.jpl.nasa.gov/galleries/images-voyager-took/solar-system-portrait/