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激しい緩和

 

よみ方

はげしいかんわ

英 語

violent relaxation

説 明

多くの楕円銀河の半径方向の表面輝度プロファイルはいわゆるドゥ・ボークルール則によってよく近似されることが知られている。しかし、2体緩和のタイムスケールは楕円銀河では宇宙年齢よりも長いため、楕円銀河の輝度分布の普遍性がもしも何らかの緩和過程によるものであるとすると2体緩和以外の緩和過程が必要である。その候補としてリンデンベル(R. Lynden-Bell)によって 1967 年に提唱されたのが激しい緩和である。
楕円銀河のような自己重力系の形成初期においては、系が力学平衡から大きくはずれており系全体が大きな振動をする。リンデンベルは、このときに、系の重力場(重力ポテンシャル)の変化により、星の運動はランダムな摂動を受け、結果的に系が単位質量あたりの力学的エネルギーが等しくなる運動学的平衡状態に向かって進化すると主張し、この過程を「激しい緩和」と呼んだ。
ただし、その後の数値実験では、最終的な系の密度分布は初期条件依存性を残していることがわかった。また、近年行われているダークマターハローの構造形成シミュレーションでは、共通の密度分布は得られるが、それはリンデンベルが提唱した運動学的平衡状態からは遠く離れている。現在の理解では、「激しい緩和」は運動学的平衡状態に向かう進化に直接つながるものではないとされている。

2018年04月11日更新

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