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トランジット法

高

よみ方

とらんじっとほう

英 語

transit method

説 明

太陽系外惑星検出方法の一つ。惑星の軌道面が観測者の視線方向とほぼ平行な場合、つまりその系をほぼ真横から見ているとき、惑星は公転のたびに中心星の前面を通過する(トランジット)。このとき惑星は恒星面の一部を隠すため、恒星の明るさが一時的に減少する。この周期的な光度変化の観測により惑星を検出する方法をトランジット法という。光度変化量は恒星と惑星の断面積の比によって決まり、たとえば太陽と木星の系の場合には約1%、太陽と地球の系の場合には約0.01%変化する。トランジットの観測される惑星の軌道傾斜角はほぼ90度である。ドップラー法には高精度分光器が必要であるが、トランジット法はCCDカメラで良いため、地上および宇宙からトランジット法による多数の惑星探査観測が行われている。惑星がトランジットを起こす確率は、恒星半径と主星から惑星までの距離(軌道長半径)で決まり、恒星に近いほど確率が大きいが、太陽型恒星をまわる灼熱巨大惑星でも5%程度であり、広い視野を持つCCDカメラで同時に多数の恒星の明るさの変化を精密に測る必要がある。トランジット法による惑星検出はドップラー法よりも遅く、2000年に初出版された。
トランジットが検出された星に対してドップラー法の観測もできれば、惑星の軌道傾斜角の不定性が除かれるため惑星の質量が求められ、トランジット法からも止まる惑星の大きさと合わせて惑星の密度を推定することができる。また、モデルと比較することにより、惑星の大気・内部構造についての情報も得ることができる。
トランジット法での惑星検出を目的としたケプラー衛星は、1万分の1の光度変化を観測できたため、地球型惑星を含む多数の太陽系外惑星を発見した。今日まで確認されている太陽系外惑星の半分以上がケプラー衛星が発見したものである。ケプラー衛星の成功を受けて、スペースからの太陽系外惑星探査はTESS衛星に引き継がれ、太陽に近い恒星のまわりの惑星探査に成功している。
惑星がトランジットする際の分光観測や、惑星が恒星の背景に隠れた「食」の際の惑星からの熱放射の変化により、惑星の大気や温度の情報を得ることも実現されている。


トランジット法の解説動画(Credit: ESA)
掲載元のサイト https://sci.esa.int/web/exoplanets/-/60655-detection-methods

https://youtu.be/xNeRqbw18Jk

2020年08月12日更新

関連画像

* トランジット法の概念図。
原図は T.M.Brown 2003, Nature, 421, 488
https://www.nasa.gov/sites/default/files/thumbnails/image/pia21075_main.jpg
https://www.nasa.gov/content/light-curves-of-keplers-first-5-discoveries