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超銀河座標系

 

よみ方

ちょうぎんがざひょうけい

英 語

supergalactic coordinate

説 明

局所銀河群おとめ座銀河団を含む局所超銀河団の研究に適した3次元直交座標系。
天球上の大円に沿って明るい銀河が分布する(図1)ことから、天の川銀河系の類推に基づいて、それらの銀河は扁平な形状をした集団になっていることを初めて明確に述べたのはドゥ・ボークルールで、1950年代のことである。彼はこの集団を局所超銀河団と名付けた。その後、タリー(R.B.Tully)たちは多くの近距離銀河の視線速度を測定して扁平な円盤部とそれを取り巻く膨らんだ部分からなる局所超銀河団の存在を観測的に確かめた(図2)。1982年の論文でタリーは(SGX, SGY, SGZ)で記述される超銀河座標を導入した。天の川銀河(銀河系)が原点にあり、局所超銀河団の円盤部の赤道面内にSGX、SGY軸をとり、円盤に垂直な方向にSGZ軸をとる。SGY軸の正の向きと北銀極方向の角度は約6度、つまり、銀河面はSGX-SGZ平面に対して約6度傾いているだけである。

2019年10月03日更新

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    *図1 (左)天球上の北銀極を中心とする半球状での10等より明るい銀河の分布。(右)明るい銀河約2万個の全天球分布。破線で囲まれた部分が左図の半球にほぼ対応する。いずれの図でも明るい銀河が帯状に分布しているのがわかる。
    岡村定矩「銀河系と銀河宇宙」(東京大学出版会)
    *図2 超銀河座標で表した局所超銀河団の銀河の分布。一つの点は一つの銀河を表す。銀河系は原点にある。円の半径は約40 Mpc(1億3000万光年)。左上の図でSGZ~0、SGY~18 Mpcにある集団がおとめ座銀河団。左の二つの図で銀河のほとんどない扇形の部分は天の川銀河の不透視帯のため銀河の観測ができていないところ。
    Tully 1982, ApJ, 257, 389の原図を元に作成。