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太陽運動

 

よみ方

たいよううんどう

英 語

solar motion

説 明

天の川銀河内の天体は、第1近似としてその中心の周りを一定速度で円運動していると考えられる。太陽位置で、この運動を示す仮想点を局所静止基準(LSR)と呼び、これに対して太陽系が持つ運動のずれを太陽運動といい、その方向を太陽向点と呼ぶ。実際には、定義通りの局所静止基準を十分な精度で確実に得ることができないため、太陽の周りの星々は平均的な動きを局所静止基準と仮定して、これ対するずれを観測から得て太陽運動としている。しかしながら,観測対象として選択する恒星の種類によって多少異なる値が得られることがわかっている。
しかし、それでは観測から天の川銀河の運動を導く際に研究者ごとの違いが出てきてしまうので、これを避けるために\alpha_{\rm \odot}({\rm B1900.0})=18^{\rm h}, \delta_{\rm \odot}({\rm B1900.0})=+30^{\rm \circ}(ヘルクレス座の方向)に向かって、20 {\rm km\,s^{-1}}であるとする提案がKerr and Lynden-Bell (1986, MNRAS, 221, 1023)によってなされており、多くの電波天文学の論文で採用されている.これを直交座標で表すと、銀河中心方向をU、銀河回転方向をV、銀河北極方向をWとして、太陽運動は(U,V,W)=(+10.3, +15.3, +7.7)となる(単位は {\rm km\,s^{-1}})。Kerr and LyndenBell の原論文の数値には直交座標への変換に僅かな誤りがあり、ここに掲げた値が再計算値である(Ando et al. 2011, PASJ, 63, 45参照)。

2019年10月02日更新

関連画像

太陽運動の解説図。太陽運動の方向(太陽向点)はヘルクレス座の方向にある。
画像出典:半田利弘「よくわかる宇宙の基本と仕組み」秀和システム