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四重極子モーメント(CMBの)

 

よみ方

しじゅうきょくしもーめんと(しーえむびーの)

英 語

quadrupole moment

説 明

宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の温度ゆらぎの解析においては、天球面上のゆらぎを球面調和関数Y^l_m(\theta,\phi)で展開する多重極展開が有用である。展開係数の振幅の2乗はパワースペクトルと呼ばれ、これを調べることが基本的な解析方法の一つである。このとき、l=2に対応するモードの振幅が、宇宙マイクロ波背景放射の四重極子モーメントである。l=1に対応するモードの振幅は双極子モーメントである。双極子モーメントに対応するモードの温度ゆらぎは観測者の運動に起因するドップラー効果によるものが支配的なので、そこには宇宙論的な情報が含まれない。四重極子モーメントには、最も大角度スケールに対応した宇宙論的温度ゆらぎの情報が含まれている。また、宇宙の晴れ上がり時において電子と光子が最終散乱したとき、その電子の周りに四重極子モーメントを持つ密度ゆらぎがあると、散乱光に偏光が生じる。これは宇宙マイクロ波背景放射の偏光となって実際に観測されている。

2018年04月29日更新

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