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金属欠乏星

 

よみ方

きんぞくけつぼうせい

英 語

metal-poor star

説 明

太陽に比べて著しく金属(重元素)の組成の低い星。水素とヘリウム以外の元素は金属と総称されることが多く、太陽近傍の星の多くは太陽と同程度の金属量をもつが、稀に太陽の1/10あるいはそれ以下の星がみられる。それらは種族Ⅱの星と呼ばれ、天の川銀河銀河系)のハローを構成する年齢の高い星が多い。これらは宇宙初期に、まだ重元素が豊富にならない段階で形成された小質量星の生き残りと考えられる。また、球状星団矮小銀河にも多く見られる。どのくらいの金属量の星を金属欠乏星と呼ぶかは明確に決まっているわけではなく、研究対象によってかなり幅がある。

2019年09月07日更新

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    *太陽と金属欠乏星のスペクトルの比較。HD140283の有効温度は太陽と同程度で、水素のバルマー線(中央はH𝛄)の強さも同程度であるが、金属による吸収線は非常に弱い。下図の[Fe/H]は恒星と太陽の金属量比の常用対数を表す。HD140283([Fe/H]=-2.5)の金属量は太陽の0.003倍となる。
    青木和光「低金属星の観測と銀河の化学進化」、シリーズ現代の天文学第7巻、野本・定金・佐藤編『恒星』1.10節 図1.50(日本評論社)