天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

ルメートル

 

よみ方

るめーとる

英 語

Lemaitre, Georges

説 明

ベルギーの宇宙論学者(1894-1966)。膨張宇宙モデルを提案した。ベルギーのカソリック大学で学んだ。第1次世界大戦後、ケンブリッジ大学で天文学を学び、エディントンから宇宙論を教わった。1922年に発表されたフリードマン宇宙モデルのことは知らずに、アインシュタイン一般相対性理論を宇宙に適用して、宇宙が膨張することを導いた。1927年にベルギーの科学雑誌に発表されたこのルメートル解に関する論文はフランス語で書かれ、雑誌の知名度も低かったのであまり注目されなかった。しかしハッブルによる膨張宇宙の発見後、1931年に、ディントンが解説付きでこの論文を英国学会誌に掲載されたことにより学界に認められた。
ところがこの英訳された論文では、原論文には存在した、銀河の赤方偏移と距離のデータからハッブル定数を求めた部分が削除されていたことが2011年になって発見され、その原因についての調査が関心のある天文学者達によって行われた。その結果、この削除は「すでにハッブルがハッブル定数を求めた論文を1929年に出版しているので、ほとんど同じデータを使った自分の結果を今再度掲載しなくてよい」というルメートル自身の意志によるものであることが判明した。ハッブルとともに、と言うよりハッブルに先んじて、膨張宇宙の理論と観測を結びつけたビッグバン宇宙論の開祖ともいえる。彼は、宇宙の始まりは始原原子の解体による爆発であると想定し、宇宙線の起源にもその考えを適用した。
天文学の歴史の中で画期的な発見であり現代宇宙論の基礎である宇宙膨張を最初に発見したルメートルの貢献を讃え、将来の科学的な講演・論説・論文などにおいて歴史的事実が正しく示されることを願って、2018年8月20-31日にオーストリアのウィーンで開催された第30回国際天文学連合(International Astronomical Union: IAU)総会で、IAU執行委員会は、「宇宙の膨張を表す法則は今後『ハッブル-ルメートルの法則』と呼ぶことを推奨する」という決議を提案した。この決議は2018年10月に会員の投票で成立した。

2018年12月04日更新

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