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木曽観測所

 

よみ方

きそかんそくしょ

英 語

Kiso Observatory

説 明

正式名称は東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター木曽観測所。東京大学附属東京天文台の観測所として1974年に長野県木曽郡三岳村(現木曽町)に開設された観測所。世界第4位の口径を持つシュミット望遠鏡(日本光学(株)製)が設置された。1988年、東京天文台が国立天文台に改組される際に、東京大学に残り、東京大学理学部附属の天文台となった。後に東京大学の大学院重点化に伴い、大学院理学系研究科附属の天文台となった。
日本に大型シュミット望遠鏡を建設することは、SAM(Stellar Astronomy Meeting)と呼ばれた研究者グループの強い希望であった。1961年から毎年夏に開催されていた「SAM夏の研究会」は、木曽シュミット完成後は木曽観測所が主催する「木曽シュミットシンポジウム」に引き継がれ、以来現在まで毎年夏に開催されている。
木曽シュミット望遠鏡の主鏡口径は150cm、補正板口径は105 cm、焦点距離は3300 mm、口径比F/3.1、イメージスケールは62.6''/mmである。米国イーストマン・コダック社製の14インチ(35.5cm)角の写真乾板で6度x6度の視野をカバーした。木曽観測所は、各種写真乾板測定機やデータ解析用計算機設備を有し、7000枚を超える撮影乾板は木曽観測所で保管された。1984年には天体画像処理システムSPIRALの開発が始まり、翌85年には画像処理室が新設された。木曽観測所の諸設備は全国共同利用に供され、観測のみならず乾板測定やデータ解析のために来所する研究者も多かった。2013年以降、シュミット望遠鏡のリモート観測システムが整備されてきた。最近は遠隔操作および自動観測が実施されている。シュミット望遠鏡は2016年度で共同利用を終了し、2017年度からはプロジェクト研究に使用されている。
可視光の検出装置が写真からCCDに代わりはじめた1980年代終わりから、木曽観測所でもCCDカメラの開発がはじまり、モザイクCCDカメラを含むいくつものCCDカメラが製作・使用された。最終的には2kx4kCCDを8素子並べたKWFCで一応の完成を見た。2019年10月からは、 2kx1kCMOSセンサーを84素子並べて広視野動画が撮影できるトモエゴゼンカメラが稼働している。
木曽観測所は天文教育・普及分野でも長年活動している。1989年にはコニカ(株)製の大型カラーフィルムで撮影した天体カラー写真スライドセットを製作(日本天文学会より販売)、91年には木曽シュミットによる写真をまとめた「KISOシュミットアトラス」を出版した。高校生に天体観測とデータ解析による研究体験をさせるプロジェクトの草分けである「銀河学校」は、1998年に木曽観測所ではじまったもので現在も継続している。また東京大学を含め、6~7大学の学生実習にも毎年活用されている。
木曽観測所ホームページ:http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/

2019年10月07日更新

関連画像

開設当時の木曽観測所全景。正面の山は御岳山。
(クレジット:東京大学木曽観測所)
* 木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡とその構造図
構造図の出典:木曽シュミットアトラス編集委員会『KISOシュミットアトラス』(丸善)
* 木曽観測所のシュミット望遠鏡で撮影された、14インチ(35.5 cm)角の大型写真乾板(アメリカのコダック社製)
(撮影 岡村定矩)
* 70枚のカラースライドからなる解説付きスライドセット「遙かなる宇宙へ」
(撮影 岡村定矩)

* 「木曽シュミットアトラス」(丸善)とカラースライドのCD版。
(撮影 岡村定矩)