天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

銀河団ガス

 

よみ方

ぎんがだんがす

英 語

intracluster gas

説 明

銀河団の内部に充満している数千万度から1億度の高温ガス。ガスは電離状態にあり、X線を放射している。銀河団ガスは銀河団の全バリオンの約8割(質量比)を担っており、星は残り2割に過ぎない。銀河団ガスは、主にダークマターで決まる重力とガス自身の圧力勾配とがつり合って(静水圧平衡)、安定した形状にある。銀河団に大量の高温ガスがあることがわかったのは1971-72年で、X線天文学の歴史で特に重要な発見とされる。銀河団ガスを通過する宇宙マイクロ波背景放射は、電子から逆コンプトン散乱によりエネルギーを受け取ってスペクトルを変形させる。これをスニヤエフ-ゼルドビッチ効果という。銀河団ガスは、銀河団内を動き回る銀河に動圧を及ぼして銀河からガスをはぎ取り、環境効果の一因になることがある。銀河団ガスには鉄や酸素などの重元素が大量に存在する。これらの多くは、銀河の中の星(主として超新星)によって作られた重元素が銀河風やガスのはぎ取りによって銀河団内にばらまかれたものであると考えられる。銀河団の中心部はガスの密度が高いため放射冷却がよく効いて、大量の冷たいガスの流れ(冷却流)が生じるはずだが、観測される冷たいガスはずっと少ない。これは冷却流問題と呼ばれる未解決の問題である。なお、銀河群にも、銀河団ガスより温度は低いが、同様の電離ガスが存在する。

2018年03月11日更新

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