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相互作用銀河

 

よみ方

そうごさようぎんが

英 語

interacting galaxies

説 明

衝突ないしは近傍を通過することにより、重力を及ぼしあって形態に特徴的なパターンを示す複数の銀河。強い潮汐力によって昆虫の触角(アンテナ)のように伸びた細い紐状の構造、くっきりとした渦巻腕、車輪のような形、シェル構造などが作られ、特異銀河として分類されているものが多い。ただし、子持ち銀河 M51 のようにほとんど変形を受けていないものもあり、相互作用による形態への影響の程度はまちまちである。このような相互作用は銀河の潮汐相互作用(tidal interaction)と呼ばれることが多い。
相互作用銀河の理解はコンピュターシミュレーションの発展とともに深まった。衝突する二つの銀河の質量比や衝突パラメータの違いなどにより、潮汐相互作用によってどのような形のパターンが発生するかをはじめてコンピューターシミュレーションで示したのはトゥームレ(A. Toomre)夫妻で、1972年のことであった。この論文では、銀河を質点として扱い、一方の銀河(質点)の周りに、銀河円盤(ディスク)を模した平面上に120個のテスト粒子(質量が質点=銀河に比べて無視できる)をおいて、そのテスト粒子が作るパターンを調べた。現在は、星とガスとダークマターを組み込んだ、より現実の銀河に近い潮汐相互作用のシミュレーションが多数行われているが、トゥームレ夫妻の論文と基本的に同じ結果が得られている。
銀河同士の相互作用はありふれた現象であり、銀河進化に大きな影響を与えている。相互作用の結果、最終的には二つの銀河が合体(銀河合体)して1つの銀河になるものもある。宇宙初期における銀河形成の初期段階では、小さな銀河が頻繁に合体を繰り返して成長してきたと考えられている(ボトムアップシナリオ)。相互作用や銀河合体によってしばしばスターバースト(爆発的星生成)が誘発される。銀河相互作用と活動銀河核との関連も指摘されている。
ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した相互作用銀河:
https://hubblesite.org/contents/news-releases/2008/news-2008-16.html?news=true#section-id-2


合体に至る二つの渦巻銀河の衝突のコンピュータシミュレーション。ハイデルベルグ大学のVolker Springelによる。色の違いはガスの温度の違いを表している。
https://youtu.be/3-6WqGnufZg

2020年05月17日更新

関連画像

子持ち銀河M51の潮汐相互作用の再現実験。左がトゥームレ夫妻によるシミュレーション(Toomre, A. and Toomre, J. 1972, ApJ, 178, 623)、右がスローンデジタルスカイサーベイによる画像。左画像は三面図(正面図、平面図、側面図)で示されている。
アンテナ銀河(NGC4038/39)とマウス銀河(NGC4676A/B)の潮汐相互作用の再現実験。左がトゥームレ夫妻によるシミュレーション(Toomre, A. and Toomre, J. 1972, ApJ, 178, 623)、右はハッブル宇宙望遠鏡などによるデータ。
銀河が正面衝突(head-on collision)に近い衝突をした時に車輪状の構造ができることもコンピューターシミュレーションで確認された。左がトゥームレによるシミュレーション(Toomre, A. 1978, IAU Symp., 79, 109)、右はハッブル宇宙望遠鏡などによるデータ。
アンテナ銀河、NGC4038 (左)とNGC4039 (右)、では相互作用によってスターバーストが起きていることが確認された。ハッブル宇宙望遠鏡で撮像。
(Credit:ESA/Hubble & NASA)http://www.spacetelescope.org/images/potw1345a/