天文学辞典 | 天文用語をわかりやすく解説

虚時間

 

よみ方

きょじかん

英 語

imaginary time

説 明

量子力学的扱いをする数式に現れる虚数の時間のこと。量子力学では、たとえば一時的にもとのエネルギーよりも高いエネルギーの状態を取るなど、古典論では許されない運動も実現し得る。このような遷移を準古典(WKB)近似で取り扱うと、古典的に許されない運動は、あたかも虚数の時間に沿って時間発展するかのように表すことができる。宇宙のスケール因子を量子力学変数と見る量子宇宙論を、正の宇宙項だけを含んだ最も簡単な宇宙モデルについて展開すると、宇宙はある有限の大きさで創生し、宇宙の大きさがゼロからそこまでは、古典的運動の禁止領域として「虚数の時間に沿った時間発展」によって記述することができる。このことから、ホーキング(S. Hawking)らは、「宇宙は虚数の時間で始まり、ある有限の大きさになったところで実数の時間を持つ通常の宇宙になった」ということを主張した。しかし、量子重力のこのような取り扱いにはさまざまな問題点があり、虚時間の概念は明確ではない。

2018年03月11日更新

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