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HDS

 

よみ方

えいちでぃーえす

英 語

High Dispersion Spectrograph

説 明

すばる望遠鏡に搭載された、エシェル分光器のこと。High Dispersion Spectrographの頭文字をとって命名された。
製作メーカーはニコン。装置全体の大きさは6\,{\rm m}\times 6\,{\rm m}\times 3\,{\rm m}、重量は約6 tであり、すばる望遠鏡搭載観測装置の中で最大である。最大の波長分解能R=16000、入射光子の観測効率はシステム全体(望遠鏡、分光器光学系、検出器)を通して最大13%(500-600 nmの波長帯)である。HDSは大型で高精度の高分散分光を行うため、望遠鏡が動いても装置にかかる重力方向の変わらないナスミス焦点に設置されている。気温変化による分光器構造物の熱伸縮を避けるために、装置全体が温度制御された小部屋の中に入れられている。高分散分光能力を生かして、古い星や近傍銀河の星、あるいはクェーサー などに見られる吸収線を詳しく観測して、宇宙の元素合成銀河銀河間物質の進化の研究に成果を挙げている。

2019年02月06日更新

関連画像

HDSの全体像 (国立天文台)
https://www.subarutelescope.org/Introduction/instrument/img/HDS_300.jpg
*HDSの光学系配置図。エシェル回折格子、クロスディスパーザーが連続的に配置されている。
佐々木敏由紀「天体観測装置」、シリーズ現代の天文学第15巻、家・岩室・舞原・水本・吉田編『宇宙の観測I』第2版 7.2節 図7.9(日本評論社)
*HDSエシェルスペクトル配置(赤用クロスディスパーザー使用時)
佐々木敏由紀「天体観測装置」、シリーズ現代の天文学第15巻、家・岩室・舞原・水本・吉田編『宇宙の観測I』第2版 7.2節 図7.10 (日本評論社)