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林トラック

高

よみ方

はやしとらっく

英 語

Hayashi track

説 明

HR図上で縦に移動するTタウリ型星の進化の道筋のこと(図参照)。
重力エネルギーを解放して輝いているTタウリ型星はほぼ星全体が対流状態になっている。また、星の表面付近で{\rm H}^-イオンの連続吸収が卓越しているため、放射の吸収係数の温度依存性が極めて大きい。これらのことに起因して、Tタウリ型星は表面温度が星の光度にほとんど依存しない平衡状態になることが理論的にわかる。そのため、Tタウリ型星はHR図上で上から下に縦(ほぼ温度一定)に移動する進化を示す。この状態を林フェーズという。この進化の時間スケールは重力エネルギーを放射によって解放する時間スケールであり、ケルビン-ヘルムホルツ時間である。HR図上において、この林トラックの右側には平衡状態の星が存在しえないため、林の禁止領域と呼ばれる。ヘニエイトラック前主系列収縮も参照。

2018年09月16日更新

関連画像

林トラックのグラフ
*横軸に星の温度、縦軸に星の光度を表すHR図の上に若い星(前主系列星)の進化経路を表示したもの。
図中のそれぞれの実線は太陽質量の0.6-6.0倍の質量の星に対応している。実線の横に記した数値は星が生まれてからの経過時間を表しており、破線は星が生まれるときに対応していて「星の誕生線」と呼ばれる。太陽質量の2倍以下の前主系列星の進化において、星の誕生線から始まり、HR図上をほぼ上から下に進化する。この経路が林トラックである。その後は零歳主系列に向かって左上に進化する。この経路はヘニエイトラックと呼ばれる。
田村元秀「観測との比較」、シリーズ現代の天文学第6巻、福井・犬塚・大西・中井・舞原・水野編『星間物質と星形成』10.2節 図10.5 (日本評論社)